ベランダに鳩がとまるようになると、朝の鳴き声やフンの汚れが一気に気になり始めます。追い払っても、しばらくするとまた戻ってくる。そんな繰り返しに疲れている方も多いのではないでしょうか。
鳩対策がうまくいかない理由は、はっきりしています。鳩がどこまで居着いているかを見ないまま、グッズだけを置いてしまうからです。段階が進んでいるほど、追い出す難易度は跳ね上がります。
対策の効き目を決めるのは「グッズの種類」ではなく「着手の早さ」です。休憩に立ち寄る段階なら数百円で済むことが、巣を作られた後は業者依頼が必要になります。
この記事では、鳩の居着き具合を見分ける方法から、法律で決まっている巣の扱い、効くグッズと慣れられるグッズの違い、フン掃除の安全な手順までを順番に整理します。賃貸で気をつける点もあわせて確認していきましょう。
ベランダの鳩対策は「今どの段階か」で決まる
最初にやることは、グッズ選びではありません。鳩がベランダをどう使っているかを見極めることです。鳩はいきなり巣を作るわけではなく、安全な場所かどうかを何度も確かめながら、少しずつ滞在時間を伸ばしていきます。
逆に言えば、その途中で「ここは安全ではない」と思わせられれば、鳩は別の場所を探しに行きます。段階を把握することが、そのまま対策の選択につながります。

レベル1〜4|休憩から巣作りまでの見分け方
鳩の居着き具合は、おおまかに4つの段階に分けて考えると判断しやすくなります。ベランダに出たとき、どの状態に近いかを確認してみてください。
| 段階 | ベランダで見えるサイン | 有効な対策 |
|---|---|---|
| レベル1|休憩 | 手すりに数分とまるだけ。フンはほとんどない | 見かけたら追い払う。手すりへのテグス張りで十分 |
| レベル2|待機 | 毎日同じ時間に来る。手すりや室外機にフンが数個 | とまれる場所をなくす(剣山・テグス)。フンをすぐ落とす |
| レベル3|ねぐら | 夜もいる。室外機の裏や隅にフンがまとまっている | すき間をふさぐ。ネットの設置を検討する |
| レベル4|巣作り | 小枝や枯れ草を運び込む。つがいで居座る | 卵の有無を確認してから対応。ネット設置か業者依頼 |
レベル1と2であれば、市販のグッズと日々の掃除で十分に対応できます。厄介なのはレベル3から先です。鳩は自分が安全に過ごせた場所を記憶するため、この段階に入ると追い払っても戻ってきます。
フンの量と時間帯でわかる進行度
段階を判断する手がかりとして、いちばん分かりやすいのがフンです。点々と散らばっているうちはレベル1〜2、一か所に山のようにたまっていればレベル3以上と考えてよいでしょう。鳩は落ち着ける場所でしかまとまった量のフンをしないためです。
時間帯も判断材料になります。昼間だけ見かけるなら休憩や待機の段階、早朝や夜間にも姿があるなら、ねぐらとして使われています。数日のあいだ、朝の出勤前と帰宅後に一度ずつベランダを見るだけで、かなり正確に判断できます。
- 室外機の裏や隅に、フンがまとまってたまっている
- 小枝・枯れ草・ビニールひもなどが落ちている
- 2羽そろって長時間とまっている
- 早朝や夜にも鳴き声が聞こえる
ひとつでも当てはまるなら、様子見はやめて今週中に手を打ったほうがよい状態です。特に巣材が運び込まれている場合は、日単位で状況が変わります。
卵やヒナがいる巣は、自分で撤去できません
対策を始める前に、必ず知っておきたいことがあります。鳩は法律で保護されている野鳥で、卵やヒナがいる巣を勝手に撤去することはできません。知らずに片づけてしまうと、法律違反になるおそれがあります。
鳥獣保護管理法で禁止されていること
ベランダに来るドバトやキジバトは、鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)の対象です。この法律では、許可なく野鳥を捕獲すること、そして卵を取ることが禁止されています。ヒナも同様に、勝手に移動させることはできません。
厳しく感じるかもしれませんが、この決まりがあるからこそ「早い段階で手を打つ」ことに意味が出てきます。巣を作られる前なら、対策の自由度はずっと高いのです。
巣作りの途中や空の巣なら片づけてよい
禁止されているのは、あくまで卵やヒナがいる巣に手を出すことです。次のような状態であれば、自分で片づけて問題ありません。
- 巣材を運び込んでいる途中:まだ卵はありません。この段階なら小枝を取り除いてよいタイミングです
- 巣はあるが卵もヒナもいない:使われていない巣は撤去できます
- ヒナが巣立った後:残された巣は片づけてかまいません
大事なのは、片づけた後に必ず再発防止をセットで行うことです。巣を取り除いただけで終わると、鳩は同じ場所にもう一度巣を作ります。撤去したその日のうちに、ネットや剣山まで進めてください。
卵やヒナがいたときの相談先
すでに卵やヒナがいた場合、選べる道は2つです。ひとつは巣立つまで待つこと。もうひとつは、正規の手続きを踏んで対応することです。
| 相談先 | 相談できること |
|---|---|
| 市区町村の担当窓口(環境課・生活衛生課など) | 撤去に許可が必要かどうか、申請の方法。自治体ごとに対応が異なる |
| 管理会社・大家さん | 賃貸・分譲マンションの場合の窓口。共用部の扱いや費用負担の確認 |
| 鳥害対策の専門業者 | 許可の代行を含めた対応、ネット施工。見積もりは複数社で比較する |
自治体への申請は、自分でできる対策をしても被害が防げない場合に限られるのが一般的です。まずは窓口に電話で状況を伝え、どこまで自分で対応してよいかを確認するのが確実です。
鳩を寄せつけないベランダにする|環境からの対策
グッズを買う前に、まず環境を整えます。鳩がベランダを選ぶ理由をなくすほうが、対策としては確実で費用もかかりません。鳩が求めているのは、外敵から隠れられて、雨風がしのげて、静かな場所です。
フンと巣材を残さない
最優先はフンの除去です。鳩は自分や仲間のフンの匂いを目印にして、同じ場所に戻る習性があります。フンが残っているベランダは、鳩にとって「前に安全だった場所」という看板が出ているのと同じ状態です。
見つけたら、その都度落とすのが基本です。ためてから一気に片づけるのは、掃除の負担という意味でも、鳩を呼び戻すという意味でも損になります。掃除の安全な手順は、後の見出しで詳しく説明します。
室外機の裏と手すり下のすき間をふさぐ
鳩が巣を作るのは、開けた場所ではありません。三方が囲まれていて、上から見えない場所です。ベランダでいえば、次のような場所が狙われます。
- エアコン室外機の裏側:壁との10〜20cmほどのすき間。もっとも多い巣作り場所
- 手すりの下や隔て板の陰:外から見えず、雨も当たりにくい
- 置きっぱなしの荷物の裏:段ボール、収納ボックス、使っていない植木鉢の並び
- 使っていない物干し台の下:物が重なって死角になっている場所
室外機は壁から離して設置し直すか、すき間にネットや板を入れて入れないようにします。荷物については、置く量を減らして風通しと見通しをよくするだけで効果があります。「隠れられる場所がない」と判断されれば、鳩は下見の段階で去っていきます。
水とエサになるものを置かない
受け皿にたまった水、植木鉢の土、生ゴミの匂い。こうしたものは鳩を呼ぶ材料になります。特に水は、鳩にとって強い引き寄せ要因です。植木鉢の受け皿は、水やりの後に必ず空けておきましょう。
また、排水口が落ち葉やゴミで詰まっていると、雨のあとに水たまりができて同じことになります。ベランダの排水まわりの手入れは、季節の掃除とあわせて済ませておくと管理がラクです。

鳩よけグッズは何が効く?嫌いな匂い・剣山・ネットを比較
鳩よけグッズはたくさん売られていますが、効き方には差があります。判断の軸になるのは「物理的にとまれなくするか」「不快にさせるだけか」という違いです。鳩は学習能力が高いため、後者は時間とともに効きが落ちていきます。

| グッズ | タイプ | 効く段階 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 防鳥ネット | 物理 | レベル1〜4 | すき間があると意味がない。賃貸は事前確認が必要 |
| 剣山(バードスパイク) | 物理 | レベル1〜3 | 手すりの形状に合うか要確認。すき間から入られることがある |
| テグス・防鳥ワイヤー | 物理 | レベル1〜2 | ピンと張らないと効かない。手すりへの着地防止向き |
| 忌避剤(ジェル・スプレー) | 感覚 | レベル1〜2 | 雨に弱く効果が続かない。定期的な塗り直しが前提 |
| CD・反射テープ | 感覚 | 補助のみ | 慣れられやすい。単独では期待しない |
| カラスの置物・風車 | 感覚 | 補助のみ | 動かないものは短期間で見破られる |
| 磁石 | — | — | 鳩よけの効果は確認されていない |
効果が高い|防鳥ネット・剣山・テグス
確実性でいえば、防鳥ネットが最上位です。ベランダ全体を覆ってしまうため、段階が進んだ状態でも通用します。ただしすき間が5cmでもあると、鳩はそこから入ります。上下左右をすき間なく固定できるかどうかが、成否を分けます。
剣山は、手すりや室外機の上など、とまる場所が限られている場合に有効です。設置は簡単ですが、置いただけでは風で動くため、結束バンドや両面テープで固定してください。テグスは手すりの上5〜10cmの高さに2本ほど張ると、着地しにくくなります。
いずれも、鳩が「とまろうとした瞬間に失敗する」ことが重要です。中途半端な設置でとまれてしまうと、鳩はその隙間を覚えてしまいます。
鳩の嫌いな匂いと忌避剤|使い方と限界
「鳩の嫌いな匂い」で検索する方は多いのですが、まず前提を押さえておきましょう。匂いによる対策は、居着く前の鳩を遠ざける補助手段です。すでに巣を作っている鳩を追い出す力はありません。
市販の鳥用忌避剤には、ハッカやトウガラシなどの刺激成分を使ったものがあります。形状ごとの特徴は次のとおりです。
- ジェルタイプ:手すりなどに点々と塗る。持続はやや長いが、粘着性があり跡が残ることがある
- スプレータイプ:手軽だが雨で流れる。数日から1週間ごとの塗り直しが前提
- 固形・置き型:狭い範囲向き。屋根のある場所でないと効果が続きにくい
共通する弱点は雨です。ベランダは吹き込みがあるため、雨のたびに効果が落ちると考えておいてください。木酢液やハッカ油を薄めて使う方法も紹介されることがありますが、屋外では成分が飛びやすく、持続はさらに短くなります。
慣れられやすい|CD・磁石・置き物
吊るしたCDやキラキラしたテープは、設置した直後には鳩が警戒します。ただ、危害が及ばないと分かると、鳩はすぐに気にしなくなります。カラスの置物や風車も同じで、動きが一定だと見破られるのが早くなります。
磁石については、鳩の方向感覚を狂わせるという話が出回っていますが、鳩よけとしての効果は確認されていません。これらは主役にせず、物理的な対策を導入するまでのつなぎと考えるのが現実的です。
鳩のフン掃除は「乾いたまま」やらない
鳩のフンは、ただの汚れではありません。乾いたフンをほうきで掃くと、粉状になった粒子が舞い上がります。鳥のフンには細菌や真菌が含まれていることがあり、自治体でも吸い込まないよう注意を呼びかけています。
だからこそ、掃除の手順には順番があります。いきなり乾いた状態で触らず、湿らせてから拭き取るのが原則です。
使い捨てのビニール手袋、マスク、長袖の服を用意します。風の強い日は避けてください。粒子が飛びやすく、掃除中に吸い込むリスクが上がります。
霧吹きやペットボトルの水をフンにかけ、5分ほど置いて柔らかくします。乾いたフンを直接こするのが、いちばんやってはいけない手順です。
広げずに、上からかぶせてつまむように取ります。使ったペーパーはその場でポリ袋へ。何度も同じペーパーで拭くと、汚れを広げてしまいます。
フンを取り除いた場所に消毒用アルコールをかけ、ペーパーで拭き取ります。匂いを残さないことが、鳩を戻らせないための仕上げになります。
手袋・マスク・ペーパーはまとめて袋の口を縛って捨てます。ブラシなどを使った場合も、使い回さず処分するのが安心です。最後に石けんで手を洗いましょう。
やってはいけない3つ
やり方を間違えると、掃除そのものが汚れを広げる作業になってしまいます。次の3つは避けてください。
- 乾いたままほうきで掃く:粒子が舞い上がり、吸い込むおそれがあります
- 高圧洗浄機で吹き飛ばす:勢いよく飛散し、隣戸や洗濯物に飛ぶ可能性があります
- 素手で触る・使った道具を洗って再利用する:手や道具を介して汚れが室内に入ります
掃除は必ず、フンをためる前の少量のうちに行うのが安全です。量が増えるほど作業時間も飛散のリスクも上がります。
賃貸・マンションでの鳩対策|どこまで自分でやっていい?
集合住宅では、もうひとつ確認しておくことがあります。ベランダは専有部分ではなく、共用部分として扱われるのが一般的だという点です。自分の部屋の一部という感覚で手を加えると、規約に触れることがあります。
管理会社に連絡すべきケース
日常的な掃除や、置くだけのグッズであれば、いちいち連絡する必要はありません。判断が分かれるのは、次のような場合です。
| やりたいこと | 連絡の要否 |
|---|---|
| フンの掃除、置き型の忌避剤 | 不要なことが多い |
| 手すりへのテグス張り、剣山の設置 | 外観に関わるため確認したほうが安全 |
| ベランダ全体を覆う防鳥ネット | 必ず事前に相談する |
| 壁や手すりへのビス打ち・穴あけ | 原則不可。必ず相談する |
| すでに巣・卵・ヒナがある | すぐ連絡する |
ネット設置は費用も手間もかかりますが、建物全体で鳩の被害が出ている場合、管理組合や管理会社の負担で対応してもらえることもあります。個人で動く前に、まず相談してみる価値があります。
避難ハッチと隔て板をふさがない
ベランダには、災害時の避難経路としての役割があります。床にある避難ハッチと、隣戸との境にある隔て板(蹴破り戸)は、いざというときに使う設備です。
ネットを張る場合も、避難ハッチの真上を避け、隔て板の前に物を置かない形にします。この2点さえ守れば、防鳥ネットが問題になることは多くありません。
ベランダの鳩対策でよくある質問
- 追い払っても毎日戻ってきます。どうすればいいですか?
-
追い払うだけでは、鳩は「人がいなくなればまた使える場所」と学習します。とまれる場所を物理的になくすこととセットで行ってください。手すりへのテグス、室外機まわりのすき間ふさぎ、フンの除去。この3つを同じ日に済ませると、戻る動機が一度に減ります。
- 鳩が本当に嫌いな匂いはありますか?
-
市販の鳥用忌避剤には、ハッカやトウガラシの刺激成分を使ったものがあり、近づきにくくする働きが期待できます。ただし屋外では雨や風で成分が飛ぶため、効果は長く続きません。匂いだけで居着いた鳩を追い出すのは難しく、物理的な対策と併用するのが前提になります。
- 巣に卵がありました。すぐ捨ててはいけませんか?
-
捨ててはいけません。鳩は鳥獣保護管理法で保護されており、卵を無断で取ることは禁止されています。まずは市区町村の担当窓口に連絡し、どう対応すべきかを確認してください。賃貸や分譲マンションの場合は、管理会社への連絡も並行して行うとスムーズです。
- 100均のグッズでも効果はありますか?
-
剣山やテグス、ネットといった物理的なグッズであれば、居着く前の段階には十分使えます。価格よりも、すき間なく設置できているかどうかが結果を分けます。一方で、CDや反射テープなど鳩を驚かせるタイプは、値段にかかわらず慣れられやすい点は変わりません。
- 鳩のフンを放置すると、どうなりますか?
-
フンは酸性で、放置すると金属部分のさびや、塗装・タイルの変色につながることがあります。さらに、フンの匂いが鳩を呼び戻す目印になるため、被害が長引く原因にもなります。乾いて固まると落としにくくなるので、少量のうちに片づけるのが結局いちばんラクです。
- 業者に頼むと、いくらくらいかかりますか?
-
ベランダの広さ、作業内容(清掃のみか、ネット施工まで含むか)、階数によって大きく変わります。見積もりは必ず複数社から取り、「清掃費」「消毒費」「ネット材料費」「施工費」が分けて書かれているかを確認してください。作業後の保証期間の有無も比較の材料になります。
まとめ|鳩対策は居着く前に動くほどラクになる
ベランダの鳩対策は、早く動いた分だけラクになります。休憩に立ち寄る段階なら手すりのテグス1本で済むことが、巣を作られた後は法律の確認と業者の見積もりが必要になるからです。
- まず段階を見る:フンの量と、来る時間帯で居着き具合が分かります
- 卵とヒナには触れない:鳥獣保護管理法の対象。自治体と管理会社に相談します
- 環境から手をつける:フンを残さない、すき間をふさぐ、水を置かない
- グッズは物理が主役:ネット・剣山・テグス。匂いとCDは補助に回します
- フン掃除は湿らせてから:乾いたまま掃かない、道具は使い捨てる
- 賃貸はネット設置の前に相談:避難ハッチと隔て板はふさがない
今週やることを1つだけ選ぶなら、フンを落として手すりにテグスを張ることです。材料費は数百円、作業は30分ほど。それだけで、レベル2から先へ進む流れを止められます。
鳩が去ったあとも、月に一度ベランダを見渡す習慣をつけておくと安心です。荷物が増えて死角ができていないか、忌避剤が雨で流れていないか。そのくらいの点検で、再発はかなり防げます。
ベランダまわりでは、虫の侵入も同じように「入られる前」が勝負になります。季節ごとの対策もあわせて確認しておくと、屋外まわりの手入れがひととおり整います。

