墓地掃除のやり方|墓石を傷めない手順とやってはいけないこと

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久しぶりにお墓参りに行ったら、墓石に黒い筋がつき、花立ての水は濁り、足元の砂利のすき間から雑草が伸びている。きれいにしてあげたいのに、「洗剤を使っていいの?」「たわしでこすったら傷つかない?」と迷って、水をかけるだけで帰ってきてしまう方も多いのではないでしょうか。

この記事では、墓地掃除に向いている時期と持ち物、墓石を傷めない手順、花立て・香炉・玉砂利など部位ごとの手入れ、やってはいけないこと、落ちにくい汚れの対処と業者に頼む目安までをまとめました。

墓地掃除の基本は、周りのゴミと雑草を先に片づけ、墓石は水とやわらかいスポンジで上から下へ洗い、最後に乾いた布で水気を拭き取ることです。洗剤やたわしに頼らなくても、この順番でほとんどの汚れは落とせます。

目次

お墓の掃除はいつ行く?時期と所要時間の目安

お墓の掃除に「この日でなければいけない」という決まりはありません。多くの家では、お参りに行く日に合わせて掃除もすませています。ただ、墓石は一年中雨風と日差しにさらされているので、間があくほど汚れが石に定着し、落とすのに時間がかかるようになります。年に数回、決まった時期に行くと決めておくと、毎回の掃除は短い時間で終わります。ここでは、掃除に行く時期の目安、向いている時間帯と天気、1基を掃除するのにかかる時間の順に整理します。

お彼岸・お盆・命日・年末が目安

掃除をかねてお参りする時期として多いのは、春と秋のお彼岸、夏のお盆、故人の命日、そして年末です。年末は一年のお礼をかねて、新年を迎える前にきれいにしておく家が多い時期です。法事(年忌法要)や納骨の予定がある場合は、その数日前に掃除だけ先にすませておくと、当日に慌てずに済みます。

回数の目安は、年に2〜4回です。お彼岸とお盆の年3回に行ければ、汚れがたまりすぎることはあまりありません。遠方で年1回しか行けない場合は、その1回を雑草の伸びる夏の前後ではなく、草の勢いが落ちる秋に回すと、草取りの負担が軽くなります。お盆やお彼岸の時期は霊園が混み合い、水場や駐車場が込むことがあるので、時間に余裕をもって出かけましょう。

時間帯と天気の選び方

時間帯は、日が高いうちに行くのが基本です。夕方以降は足元が暗くなり、段差や濡れた石で転びやすくなるため、日が暮れてからのお参りは避けたほうがよいとされています。掃除をすると乾かす時間も必要なので、午前中から昼過ぎまでに始めると余裕があります。

天気は、晴れか薄曇りで風の弱い日が向いています。雨の日は石が滑りやすく、拭いた水がいつまでも乾きません。真夏の日中は墓石が熱くなり、日陰の少ない霊園では熱中症のおそれもあるので、朝の涼しい時間に短く切り上げるのが無難です。寒い地域の冬は、水場が凍って止められていることがあるので、行く前に霊園の案内を確かめておきます。

1基あたりの所要時間

一般的な大きさのお墓1基なら、こまめに掃除しているお墓で30分ほど、半年以上あいて雑草が伸びているお墓で1時間前後がひとつの目安です。作業ごとのおおよその時間は次のとおりです。

作業時間の目安
落ち葉・ゴミ拾い、掃き掃除5〜10分
雑草取り5〜30分(伸び具合による)
花立て・香炉・水鉢の片づけと洗い10分
墓石・墓誌・外柵の水洗い10〜15分
拭き上げ5〜10分

外柵の広い家族墓や、灯籠・植木のあるお墓は、これより時間がかかります。家族で手分けすると、草取りと墓石の洗いを同時に進められるので、半分ほどの時間で終わります。

持ち物と服装|霊園で借りられる物・持っていく物

墓地掃除の道具は、特別な物をそろえなくても家にある物でほとんどまかなえます。手桶やひしゃく、ほうきは霊園や寺院で貸し出していることが多いので、持っていく物は少なくて済みます。ただ、貸し出しの有無や数は墓地によって違い、お彼岸やお盆の混み合う日は手桶が足りなくなることもあります。初めて行く墓地や久しぶりのお墓では、先に管理事務所の案内や公式サイトを見ておくと安心です。ここでは持ち物のチェックリストと、掃除の前に確かめておきたい霊園・寺院のルールをまとめます。

持ち物チェックリスト

墓地掃除の持ち物
  • 手桶・ひしゃく(霊園で借りられることが多い)
  • ほうき・ちりとり(小型の物があると外柵の内側を掃きやすい)
  • やわらかいスポンジ(研磨剤のついていない物)
  • 古い歯ブラシ・割りばし(彫刻の文字や、すき間の汚れに使う)
  • 乾いたタオル・布 3〜4枚(拭き上げ用)
  • 軍手・ゴム手袋、ゴミ袋
  • 草取り用の鎌や移植ごて、植木がある場合は剪定ばさみ
  • 玉砂利を洗う場合はザル

このほかに、花・線香・ろうそく・マッチやライターなど、お参りの品も忘れずに持っていきます。水場が遠い墓地や水道のない墓地では、ペットボトルやポリタンクで水を持参します。お墓の大きさにもよりますが、墓石と花立てを洗うだけで、10Lほどの水を使うと見込んでおくと足ります。

服装は、汚れてもよい動きやすい服と、滑りにくい靴が基本です。草取りでしゃがむ時間が長いので、膝の出る服は避けます。夏場は帽子と飲み物、虫よけを、秋から春にかけては手がかじかまないよう防水の手袋を用意しましょう。

霊園・寺院のルールを先に確認する

墓地には、それぞれ管理規則や使い方の決まりがあります。掃除の前に見ておきたいのは、次のような点です。

  • ゴミの扱い:抜いた草や枯れた花を捨てる場所があるか、すべて持ち帰りか
  • お供え物:その場で下げて持ち帰る決まりになっているか
  • 除草剤:使ってよいか(禁止している墓地もある)
  • 貸し出し品:手桶・ほうきの置き場所と、返す場所

お供え物は、カラスや動物に荒らされるのを防ぐため、お参りがすんだら持ち帰るように決めている霊園が増えています。決まりが分からないときは、管理事務所や寺院に聞いておけば確実です。借りた手桶やほうきは、使い終わったら水を切って元の場所に戻しましょう。

墓地掃除の手順|基本の7ステップ

基本の流れは、あいさつ、周りの掃除と草取り、お供えの片づけ、花立てなどの洗い、墓石の水洗い、細かい部分の汚れ落とし、拭き上げの7段階です。墓石を洗うのを後に回すのは、先に草取りや掃き掃除をすると土ぼこりが墓石にかかり、二度手間になるからです。お参りの花や線香は、掃除がすべて終わってから供えます。

STEP
お墓の前で手を合わせる

お墓に着いたら、掃除を始める前に軽く手を合わせて一礼するのが一般的です。決まった作法があるわけではありませんが、「これからきれいにします」という気持ちで区切りをつけると、落ち着いて作業に入れます。

STEP
落ち葉・ゴミを掃き、雑草を抜く

外柵の内側と墓石の周りの落ち葉やゴミを、ほうきで集めて取ります。雑草は根元を持って、根ごと抜くようにします。根が残るとすぐにまた伸びてくるので、地面が硬いときは鎌や移植ごてで土をほぐしてから抜きます。集めたゴミを隣のお墓や通路に掃き出さないよう気をつけましょう。

STEP
古い花・線香・お供え物を片づける

枯れた花、香炉に残った燃え残りの線香や灰、前回のお供え物を取り除きます。花立ての中の古い水と、水鉢にたまった水も捨てます。捨てる場所が決まっている墓地ではそこへ、持ち帰りの墓地ではゴミ袋に入れておきます。

STEP
花立て・香炉・水鉢を洗う

花立てや線香皿など、外せる物は外して水場で洗います。花立ての内側のぬめりは、スポンジや古布を割りばしに巻いてこすり落とします。部位ごとの細かな洗い方は、次の章でまとめています。

STEP
墓石に水をかけ、スポンジで上から下へ洗う

ひしゃくで墓石のてっぺんから水をかけ、全体を濡らしてから、やわらかいスポンジで上から下へなでるように洗います。こするというより、浮いた砂ぼこりを水と一緒に流すつもりで動かします。墓誌(故人の名前を刻んだ石の板)や外柵も同じ要領で洗います。

STEP
文字の彫り・すき間を歯ブラシで落とす

彫刻の文字や家紋のくぼみ、石と石の継ぎ目にたまった汚れは、水をかけながら古い歯ブラシで軽くかき出します。届かない細い溝は、割りばしの先に布を巻いて使います。

STEP
乾いた布で水気を拭き取る

最後に、乾いたタオルで墓石全体の水気を拭き取ります。上の段から順に拭き、布が湿ってきたら新しい物に替えます。拭き終わったら、花立てに新しい水と花を入れ、線香を供えてお参りします。

和型の墓石にひしゃくで上から水をかけ、やわらかいスポンジで上から下へなでるように洗っているイメージ

墓石は上から下へ、水をかけながら洗う

墓石を上から洗うのは、汚れた水が下へ流れていくからです。下の段から洗うと、上を洗ったときの泥水がまたかかり、洗い直しになります。和型のお墓なら、いちばん上の竿石(家名を刻んだ石)から、その下の台石、外柵の順に進めます。

洗うあいだは、石の表面が乾かないように水をかけながら進めるのがコツです。乾いた砂ぼこりが付いたままスポンジでこすると、砂粒が紙やすりのようになって、磨かれた表面に細かい傷をつけることがあります。まず水でたっぷり流し、それから軽くなでる、という順番を守りましょう。表面がざらついていたり、角が欠けていたりする古い墓石は、スポンジでも力を入れずに水で流す程度にとどめます。

彫刻の文字・すき間・家紋の汚れ

彫刻した文字のくぼみや家紋の細かい溝は、砂ぼこりや苔がたまりやすく、黒い汚れが残りやすい場所です。平らな面と違ってスポンジが届かないので、古い歯ブラシを使います。毛のやわらかい物を選び、水をかけながら溝に沿って軽く動かします。

文字に白や金、黒の色が入れてあるお墓では、強くこすると色がはがれることがあります。色の入った文字は水で流すだけにして、汚れが目立つときも歯ブラシを軽く当てる程度にしておきます。色が薄れてきた文字の塗り直し(色入れ)は、石材店に頼む作業です。台石と竿石の継ぎ目などのすき間も、歯ブラシで汚れをかき出したあと、水で流しておきます。

最後に拭き上げて水を残さない理由

洗ったあとの水を自然に乾かすと、水に含まれる成分が石の表面に残り、白っぽい水垢の跡になることがあります。また、湿った状態が続く場所には苔やカビが生えやすくなります。そのため、洗い終わったら乾いた布で水気を拭き取っておくことが、次の掃除を楽にするいちばんの近道です。

とくに、日の当たらない北側の面や、台石の上の水がたまりやすいくぼみは念入りに拭きます。寒い地域で冬に掃除をするときは、すき間に残った水が夜に凍ることもあるので、拭き上げをていねいにしておきましょう。

部位別の手入れ|花立て・香炉・水鉢・玉砂利・外柵

お墓は墓石だけでできているわけではありません。花を供える花立て、線香を立てる香炉、水を張る水鉢、足元の玉砂利、周りを囲む外柵と、素材も汚れ方も違う部分が集まっています。墓石と同じように水とスポンジで洗える場所もあれば、金属の部品や砂利のように別の扱いが必要な場所もあります。まず部位ごとの手入れと避けたいことを表で見たあと、汚れがたまりやすい花立て・水鉢、香炉、玉砂利と外柵まわりを順に説明します。

部位手入れのしかた避けたいこと
竿石・台石(墓石)水をかけてやわらかいスポンジで上から下へ。最後に拭き上げたわし・研磨剤・酸性や塩素系の洗剤
花立て筒を抜いて内側のぬめりを洗う。抜けない物は布を巻いた割りばしで水を入れたまま長く放置する
香炉・線香皿灰と燃え残りを捨て、線香皿は外して洗う熱いうちに水をかける
水鉢水を捨て、ぬめりをスポンジで落とす水を張ったまま帰る(蚊がわく原因になることがある)
墓誌・灯籠墓石と同じく水洗いと拭き上げ寄りかかる・揺らす(倒れるおそれ)
玉砂利・敷石ザルに入れて水洗い。雑草は根から抜く隣の区画へ砂利や土をはみ出させる

花立て・水鉢のぬめり

花立ては、前回の花が水の中で傷み、内側にぬめりや嫌なにおいが残りやすい部分です。石の花立ての中にステンレスなどの筒が差し込んであるタイプなら、筒を引き抜いて水場で洗います。内側はスポンジを割りばしに巻きつけるか、細長いボトル用のブラシでこすり、水ですすぎます。筒が抜けないタイプは、布を巻いた割りばしで内側をぬぐい、水を入れては捨てるのを何度か繰り返します。

水鉢は、墓石の手前にある水を供えるくぼみです。たまった水を捨て、底や縁についた緑っぽいぬめりをスポンジで落とします。夏場は、水を張ったままにしておくと蚊がわく原因になるので、お参りの最後に水を入れた場合も、帰る前に捨てるよう案内している霊園があります。墓地の決まりに合わせましょう。

香炉・線香皿の灰とロウ

香炉には燃え残りの線香や灰がたまり、雨水を吸って固まっていることがあります。燃え残りを取り除いて灰を捨て、取り外せる線香皿やステンレスの受け皿は水場で洗います。灰の捨て場所が決まっている墓地では、そこに捨ててください。線香を供えたばかりで香炉がまだ熱いときは、冷めるのを待ってから触ります。

ろうそく立ての周りや墓石に垂れたロウは、温かいうちにこすると広がるので、冷えて固まってから割りばしやプラスチックのヘラで少しずつはがします。金属のヘラやカッターの刃を当てると、石の表面に傷がつきます。薄く残ったロウは、無理に取ろうとせず、次の掃除のときに水で洗いながら少しずつ落としていけば十分です。

玉砂利・敷石・外柵まわり

外柵の内側に玉砂利を敷いているお墓では、砂利のすき間に落ち葉や土がたまり、そこから雑草が生えてきます。汚れが気になるときは、砂利をすくってザルに入れ、水場で洗ってから戻します。全部を一度に洗うのは大変なので、汚れの目立つ一角だけでもかまいません。砂利を戻すときは、隣の区画や通路にはみ出さないよう均します。

外柵や敷石は、墓石と同じく水とスポンジで洗い、継ぎ目の土は歯ブラシでかき出します。雑草が多いお墓では、草取りを楽にする道具や、根から抜くコツを知っておくと作業がはかどります。家の庭の草むしりと考え方は同じなので、こちらも参考にしてください。

墓石を傷めないために避けること

墓石に多く使われる御影石(花崗岩)は硬い石ですが、表面は鏡のように磨いて仕上げてあり、そのつやは傷や薬品で失われると元に戻せません。また、目には見えない小さなすき間があって、液体を吸い込むとシミとして残ることがあります。家の掃除で使う道具や洗剤をそのまま持ち込むと、汚れを落としたつもりが石を傷めてしまうことがあります。ここでは、墓地掃除で避けたい道具と洗剤、そしてお参りの習慣の中でうっかりやってしまいがちなことを順に見ていきます。

たわし・金属ブラシ・研磨剤でこすらない

汚れが目立つと、たわしやデッキブラシでこすりたくなりますが、墓石には向きません。硬い毛や金属のブラシは磨かれた表面に細かい傷をつけ、つやがなくなって白っぽくくすんだ見た目になります。傷ついた表面には汚れや水が入り込みやすくなり、かえって汚れやすい墓石になってしまいます。表面にコーティングをしてある墓石では、その膜をはがしてしまうこともあります。

研磨剤入りのクレンザーや、表面を削って汚れを落とすメラミンスポンジも同じ理由で避けます。墓石に使ってよいのは、やわらかいスポンジと、毛のやわらかい歯ブラシまでと考えておきましょう。それで落ちない汚れは、力を入れてこするのではなく、次の章の方法を試すか、石材店に相談します。

酸性・塩素系の洗剤と高圧洗浄機

家庭用の洗剤も、墓石には基本的に使いません。トイレ用やクエン酸などの酸性の洗剤は、石の成分によっては表面を溶かしてつやを失わせることがあり、塩素系の漂白剤は変色やシミの原因になることがあります。台所用の中性洗剤でも、すすぎ残しが石のすき間に入って跡になることがあるため、使うなら石材用の洗剤を選び、目立たない所で試してからにします。塩素系と酸性の洗剤を続けて使うと有毒なガスが出るおそれがあるので、同じ日に両方を使うことは絶対に避けてください。

家庭用の高圧洗浄機も、墓石に向けるのはおすすめしません。強い水流が石の継ぎ目の目地やすき間に入り込み、目地を傷めたり、石の中に水を押し込んだりするおそれがあるからです。また、霊園によっては電源がなかったり、水しぶきが隣の区画にかかったりします。高圧洗浄は、石の状態を見ながら作業できる業者に任せましょう。

お酒やジュースを墓石にかけない

故人が好きだったからと、お酒やジュースを墓石の上からかけるのは避けましょう。糖分や色素が石のすき間にしみ込み、シミや変色の原因になることがあります。乾いたあとにべたつきが残ると、虫が寄ってきたり、カビが生えたりもします。お酒や飲み物を供えたいときは、ふたを開けずに置くか、コップに注いで供え、お参りがすんだら持ち帰ります。

同じように、缶やびんを墓石の上に長く置いておくと、底の金属が錆びて茶色い輪の跡が残ることがあります。お供え物はお参りのあいだだけ置き、帰るときに下げる、と覚えておくと墓石を汚さずに済みます。

落ちにくい汚れの対処と業者に頼む目安

何年も掃除できていなかったお墓では、水とスポンジでは落ちきらない汚れが残っていることがあります。黒ずみや緑色の苔、白いシミ、茶色い錆の跡などは、それぞれ原因が違い、家でできる対処にも限りがあります。無理にこすると墓石を傷めるので、「家でできるのはここまで」という線を知っておくことが大切です。まず汚れの種類ごとに原因と対処を表にまとめ、そのあとで苔・カビ、水垢・白いシミ、鳥のフンと錆の扱い、業者に頼むときの費用の目安を順に説明します。

汚れ主な原因家でできること石材店に任せる目安
黒ずみ・緑の苔湿気・日陰・砂ぼこりにつく苔やカビ水をかけ、やわらかいブラシで浮かせて流す石の中まで黒く染みている
白い水垢水を拭かずに乾かした跡水で湿らせた布で拭き、拭き上げを習慣にする何度拭いても白さが取れない
白い粉や筋(目地の周り)目地や下地から染み出た成分が固まったもの乾いた布で払う程度にとどめる広がってきた・繰り返し出る
鳥のフン上空や近くの木から落ちる水でふやかしてから拭き取る跡が色として残った
茶色い錆の跡缶・金具・鉄の花立てから移った錆原因の金属を取り除く石にしみ込んで落ちない

苔・カビの黒ずみ

墓石の北側の面や、木の陰になる部分、台石の上の水がたまるくぼみには、緑色の苔や黒っぽいカビがつきやすくなります。苔やカビは、表面についた砂ぼこりや水垢を足がかりにして広がっていきます。ついて間もない物なら、水をかけて少しふやかし、毛のやわらかい歯ブラシやスポンジで根元から浮かせるようにすると落とせます。

何年も放っておいた苔は、石の表面の細かいすき間に根を張り、家庭の掃除では取りきれないことがあります。黒い跡が石の中まで染みているように見えるときは、無理にこすらず、石材店のクリーニングを検討しましょう。予防には、拭き上げで湿気を残さないことと、墓石に覆いかぶさる植木の枝を剪定して、日当たりと風通しをよくしておくことが効きます。

水垢・白いシミ

磨かれた墓石の表面に白い輪や筋が残っているのは、多くが水を拭かずに乾かした跡の水垢です。軽いものなら、水で湿らせた布で拭き、乾いた布で仕上げると薄くなります。家のお風呂の鏡のように酸性の洗剤で溶かす方法は、墓石では石を傷めるおそれがあるので使いません。

これとは別に、石と石の継ぎ目の周りに白い粉や筋が出てくることがあります。これは墓石を据えるときに使った目地や下地の成分が、雨水に溶けて表面に染み出し、固まったものと考えられます。水垢と違って、拭いても繰り返し出てくるのが特徴です。家でできるのは乾いた布で払う程度で、広がってくるようなら目地の傷みも疑われるので、石材店に見てもらいましょう。

鳥のフン・鉄のもらい錆

鳥のフンは、乾いたまま削り取ろうとすると、石に傷がついたり、汚れを塗り広げたりします。水をかけたり、濡らした布をしばらくかぶせたりしてふやかしてから、そっと拭き取りましょう。フンが付いてから時間がたつほど跡が残りやすいので、お参りのたびに見つけたら早めに取っておきます。ゴム手袋をして作業し、使った布はビニール袋に入れて持ち帰ります。鳥のフンの安全な取り方は、こちらで詳しくまとめています。

墓石についた茶色い輪や筋は、お供えの缶の底、鉄製の花立てやろうそく立て、外柵の金具などから移った錆(もらい錆)であることが多いです。まず原因になっている金属を取り除き、それ以上広がらないようにします。石にしみ込んだ錆は、家庭用の錆取り剤を使うと石を傷めたり変色させたりするおそれがあるので、石材店に相談してください。金属の部品そのものに出た錆の落とし方は、こちらが参考になります。

墓石の継ぎ目や彫刻文字の溝を、やわらかい歯ブラシで水をかけながら軽くこすっているイメージ

掃除代行・石材店に頼むときの費用の目安

遠方に住んでいてなかなか行けない、体力的に草取りや水運びがつらい、という場合は、お墓参りの代行や掃除代行のサービスに頼む方法があります。比較サイトなどに掲載されている例では、草取り・掃き掃除・墓石の水洗いと拭き上げをまとめた基本の掃除で、1基あたり1万〜3万円ほどで、2万円前後を目安にしている例が多く見られます。お彼岸やお盆に合わせて年に何回か頼む定期プランを用意している業者もあります。

苔の染み込みや水垢、錆の跡のように家では落とせない汚れは、石材店や墓石クリーニングの業者が、石の種類に合った薬剤や機械で落とします。こちらは作業の範囲が広く、1基あたり数万円台になることもあります。金額は地域やお墓の大きさ、汚れの具合で大きく変わるので、作業に何が含まれるか(除草やコケ落としは別料金か、作業前後の写真をもらえるか)を確かめ、2〜3社を比べてから決めましょう。お墓を建てた石材店があれば、まずそこに相談するのが近道です。

墓地掃除でよくある質問

お墓の掃除は、お参りの前と後のどちらにしますか?

お参りの前に掃除をするのが一般的です。きれいにしてから花と線香を供え、手を合わせる流れになります。お参りの後に掃除をすると、供えたばかりの花や線香を一度どかすことになり、線香の火で手をやけどするおそれもあります。

墓地で除草剤を使ってもいいですか?

墓地によって扱いが違います。除草剤が雨で流れて隣の区画の植木を枯らしたり、墓石にかかってシミになったりするおそれがあるため、使用を禁止している霊園もあります。使う前に管理事務所の決まりを確かめてください。使ってよい墓地でも、墓石や植木にかからないよう、風のない日に地面にだけ使います。手で抜くのが基本で、防草シートや砂利を厚めに敷いて草を生えにくくする方法もあります。

墓石に水をかけるのは失礼にあたりませんか?

墓石に水をかけて清めることは、多くの地域で一般的に行われています。ただし、考え方は宗派や地域、家ごとに違い、頭から水をかけるのを好まないとする考え方もあります。気になる場合は、ひしゃくで直接かけずに、水を含ませたスポンジやタオルで拭き清める方法にすると、どちらの考え方にも沿えます。かけた水は、最後に拭き取っておきましょう。

彫刻した文字の色が薄くなってきました。自分で塗り直せますか?

文字の色入れは、石材店に頼むのが安心です。墓石用の塗料を使い、はみ出しを取りながら仕上げる作業で、市販の塗料で自分で塗るとにじんだり、すぐにはがれたりすることがあります。掃除のときに色の入った文字を強くこすると色落ちが早まるので、ふだんは水で流す程度にしておきます。新しく文字を彫り足すときに、ほかの文字の色入れもまとめて頼むことができます。

遠方でお墓に行けないときは、どうすればいいですか?

近くに住む親族に頼むほか、お墓参りや掃除の代行サービスを使う方法があります。作業の前後の写真を送ってくれる業者が多く、お墓の様子を確かめる手段にもなります。寺院の墓地や霊園によっては、管理の一環として掃除を引き受けていることもあるので、管理事務所に聞いてみましょう。台風や地震のあとで墓石の傾きが気になるときは、早めに石材店に見てもらうと安心です。

まとめ|墓地掃除は水とやわらかいスポンジで、最後に拭き上げ

墓地掃除で大切なのは、強い道具や洗剤で汚れを削り落とすことではなく、墓石を傷めない方法で、こまめにきれいにすることです。周りのゴミと雑草を先に片づけ、墓石は水で流しながら上から下へ洗い、最後に水気を拭き取る。この流れを守れば、年に数回の掃除でもお墓をきれいに保てます。

墓地掃除のポイント
  • お彼岸・お盆・命日・年末など、年に2〜4回が目安。日が高いうちに行く
  • 手桶やほうきは借りられることが多い。ゴミや除草剤の決まりは先に確認する
  • 草取りと掃き掃除を先に。墓石は水をかけながら上から下へ洗う
  • たわし・研磨剤・酸性や塩素系の洗剤・高圧洗浄機は使わない
  • お酒やジュースは墓石にかけない。お供え物は帰るときに下げる
  • 拭き上げで水垢と苔を防ぐ。落ちない汚れは石材店に相談する

お参りの場所をきれいに保つという点では、家の神棚の手入れにも通じるところがあります。年末に神棚もあわせて整えたい方は、こちらもご覧ください。

次のお参りでは、乾いたタオルを2〜3枚多めに持っていき、洗ったあとの墓石を拭き上げるところから始めてみてください。それだけでも、次に行ったときの汚れ方が変わります。

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